シムズ4の日本語翻訳におけるカスタム代名詞について

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このブログを開設した目的の記事の執筆にやっと着手しました。
自分のPC内で情報が分散していて翻訳するたびにそれぞれ開くのが面倒なので、この記事みればコピペで作業できるっていうデータを作りたかったんですね。
そしてなにより、初めて翻訳作業をするときにほんとに情報がなくて何日も検索と試行錯誤をしたので、同じような誰かの役に立てば嬉しいなと思います。

前置きやら何やら長いので、ある程度ご自身の目的が絞れている方は目次をご活用ください。

カスタム代名詞とは?

最近SNSなどの自己紹介で、「he/him」「she/her」「they/them」といった記載を見かけることが増えましたよね。他にもいろいろあるようです。本人がこの代名詞で呼ばれたいです、ということを表しています。

シムズ4では2022年から、これまでは身体的性別で自動選択されていた「he/him」「she/her」から、自身で自由に設定できるカスタム代名詞が導入されました。英語版のみの提供で、順次多言語でも対応予定…とのことでしたが2025年現在でも英語版のみのようです。日本語ネイティブとしては、そりゃそうだよねと思います。これをカスタム可能にするのは、他言語では相当難しいと思います。

日本語翻訳のための前準備

まずは親の顔よりみた紹介かと思いますが、MODを日本語翻訳をするための解説は、下記の記事が大変参考になり、あらためて私が書くまでもないので省略します。私も初めて翻訳やってみよう!と思ったときに大変助けられ、お二方には感謝してもしきれません。

使用ツール

参考までに私が使用しているツールをご紹介します。

  • Sims 4 Studio最低限これだけあればOK)
  • s4pe(色々なところでアップロードされているようですがウィルス等の報告もあるようです。公式のGitHub以外からはダウンロードしないようにご注意ください、また、公式であってもプロジェクトメンバーの方が亡くなられ、オープンソースプロジェクト自体が長く更新されていないため自己責任でお願いいたします)
  • S4 STBL Merge(翻訳作業のメインツール)
  • Adobe Dreamweaver(XMLの編集ができればなんでも良いです)
  • DeepL翻訳とGoogle翻訳
  • Copilot(めちゃくちゃ助かる。後述)

日本語翻訳とカスタム代名詞

カスタム代名詞の追加による翻訳への影響

一番の影響は原文の文字列が変わったことです。
これまで{M0.he}{F0.she}と表記されていたものが{0.SimPronounSubjective}という記述に変更されました(他にも色々)。

文字列とは
{0.SimFirstName}→アクティブシムの名前が出力されます(数字が1ならターゲットシム)
{M0.he}{F0.she}→男性なら「he」女性なら「she」と出力されます。
このように、状況に応じてプログラムが振り分けて指定された文字・数字を表示させるためのタグです。

これに関して、公式アナウンスでは「カスタム代名詞未対応の言語は、これまで通りCAS性別で表示されるよ」とのことだったので、ここから私の勘違いが始まりました。
{0.SimPronounSubjective}というタグが使われていても、未対応言語では変わらず「彼」「彼女」と表示されるプログラムだと思ったんですね。でも実際は、新しいカスタム代名詞対応のタグが使用されている場合、そこがまるまるカットされます。空白にもならないので分かりづらいのですが、例えば「太郎は彼の心に強く残る情景を思い出して幸せな気持ちになった」という文章が出力されるはずが「太郎はの心に強く残る情景を思い出して幸せな気持ちになった」になります。

私の翻訳方法が悪いのか(記述にミスが有るなど)、仕様なのかわからずめちゃくちゃ調べまくりました。絶対そう!とは言い切れませんが、私の中では、カスタム代名詞用のタグは日本語自動出力に対応していないという結論に至りました。

この結論に至った理由は、S4Sで公式の日本語翻訳データを見たところ{M0.彼}{F0.彼女}が使用されており、カスタム代名詞用のタグがひとつも使用されていなかったからです(ここへたどり着くのが遅すぎる問題)。あと、WickedWhimsは翻訳をお借りしているのでいままで原文をみたことがなかったのですが、気になってみてみたら、使用されている箇所が無いわけではないのですが、ほとんど{M0.he}{F0.she}といった旧タグのままでした。なので、もう対応していないものと結論付けて旧タグで翻訳作業をする、という方針になりました。

日本語では代名詞はほとんど必要ない。けれど…

そもそも日本語翻訳する際に代名詞はほぼカットします。そうしないと余計意味がわからなかったり、奇妙な日本語になります。くどくならない程度なら代名詞のかわりにシムの名前を入れたりしますが、それでも場合によっては代名詞が必要な箇所もあるのが難しいところです。

また、カスタム代名詞が何を指すのか理解していると便利なことがあります。
機械翻訳にかける際に、カスタム代名詞のままでもわりとちゃんと翻訳してくれますが、対応する代名詞を入れたほうがより正確な翻訳になる場合が多いです。

例えば…これでもわりとしっかり翻訳してくれますが

{0.SimFirstName} wished in {0.SimPronounObjective} heart to see {1.SimPronounObjective} again.

こうするともっと正確になるときがあります。あとなにより自分がわかりやすいです。

Alice wished in her heart to see him again.

そしてこれを元に、{M0.彼}{F0.彼女}といったふうに書き換えて行きます。なおこの例文は適当に作成した文章をDeepLで英文にしてもらったものです。

カスタム代名詞対応表

結局新しく追加されたカスタム代名詞は何を指すのかを調べるのも苦労しました。英語は得意ではなかったし、学生時代ははるか昔…主格代名詞とかあれこれググっても、?????となります。確信が持てない。

そこで救世主となったのがCopilot(Winに入っているAI)と下記のMODです。

このMOD自体は英語版プレーヤー向けで、公式で対応しきれていないカスタム代名詞をオーバーライドするためのものなので日本語版ユーザーはDL不要です。このMOD紹介の一枚目の画像に、それぞれカスタム代名詞と旧文字列タグが記載してあるので、とても助かります。

また、Copilotに翻訳をお願いしたうえで「PronounSubjective」と入力すると、対応する訳をずらっと並べてくれます。これらを駆使し、ある程度まとめました。全てでは無いかもしれないし、正しくもないかもしれませんが参考になれば嬉しいです。

Copilotはすごく便利で、DeepLやgoogleを使用すると、微妙な違いのある原文は同じ訳になってしまったりします。そんなときにCopilotにニュアンスの違いを教えて、と聞くと状況の例を出して教えてくれます。

{0.SimPronounSubjective}

{M0.he}{F0.she}
{M0.彼}{F0.彼女}は、が

{0.SimPronounPossessiveDependent}

{M0.his}{F0.her}
{M0.彼}{F0.彼女}の

{0.SimPronounReflexive}

{M0.himself}{F0.herself}
{M0.彼}{F0.彼女}自身

{0.SimPronounObjective}

{M0.his}{F0.hers}
{M0.彼}{F0.彼女}のもの

{0.SimPronounSubjective|xxUpper}のように|xxUpperがついているものは、一文字目が大文字になる…ということらしいです。日本語には関係ないので無視してOK

は、が、の…といったものはだいたいタグの外に出してしまうので、実際に使うタグとしては{M0.彼}{F0.彼女}、{M1.彼}{F1.彼女}くらいかと思います。

代名詞を翻訳することについて

今回カスタム代名詞というものを調べながら、日本人の当事者の方たちのリアルってどうなんだろうという疑問を抱きました。簡単に{M0.彼}{F0.彼女}と翻訳してしまっていいものなのだろうか?と。

当事者ではないゆえの無知かもしれませんが、日本語話者として暮らしていると性別を固定した代名詞を口にすることってほぼありません。名前がわからないときは「あなた」「きみ」、そこにいない第三者を指す時も名前、あるいは「あの人」。彼、彼女という表現は文章の中でくらいしか見ない気がします。その文章も、代名詞はつかないことが多いです。日本語でtheyを訳すと、「彼ら」になってしまうんですよね。公式文章のなかでも、1人に対して彼らという表現になっているところがたまにあります。

結論はでないので、なるべく性別を固定する代名詞はカットし、くどくなければシムの名前を、それでも必要なときは{M0.彼}{F0.彼女}を使用する、ということにしています。

余談

私が初めて翻訳したMODがLumpinou様のRPO Collectionだったので、そのMODで使用されているものしか今のところ上記リストにはありません。
初めてがRPOで、MOD翻訳ってこんな感じか~大変だ~と思っていたのですが、その後ちょこちょこMOD翻訳するうちに、RPOはめちゃくちゃ文章量多いしカスタム代名詞対応だし、ド素人が手を出すものじゃなかったのか…と白目むきました。なので間違いがあってもご容赦いただければと思います。

終わりに

個人的には、カスタム代名詞が導入できるならカスタム一人称も導入してほしいな~!と熱望しています。他言語の知識は乏しいので適当ぶっこいているのですが、数多の言語の中でも日本語の一人称ってかなり特殊で、キャラクター性に大きく関わってくる部分だと思っています。創作の中だけじゃなくて、現実世界でも。口調とかその辺はもうプログラムでカスタムできる領域ではないので、翻訳する際は性別が強調されすぎないような口調になるように意識して作業しています。できているかどうかは別として。

まとまりがなく、長いだけで分かり辛い文章を最後まで読んでくれてありがとうございます。当時の私のように困っている方のヒントになれば嬉しいです。

サムネがないのは淋しいのでマイワールドのスパダリ兼スーパーおとうちゃんをそえました。独立した息子の家に呼び出されては楽器の指導をしたりインスタントアップグレードをしてくれます。

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